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月497時間削減計画の中身|69業務をどう仕分けたか、マトリクスを公開

2026年7月3日|株式会社PROST

私たちは広告代理店として日々の運用業務を抱えながら、自社のAI化にも取り組んでいます。きっかけは単純で、「AIで効率化しよう」というかけ声だけでは何も進まないという反省でした。どの業務から手をつけるべきかを決めないまま個別のツールを試しては放置する、という失敗を何度か繰り返した後、私たちは社内の業務を69個まで棚卸しし、月497時間の削減を目標にした計画を立てて、現在実行している最中です。この記事では、その69業務をどう仕分けたか、実際に使った優先度マトリクスと、1週目に起きたヒヤリとした失敗までをそのまま公開します。

なぜ69業務を全部洗い出す必要があったのか

最初に私たちがやったのは、AIツールを探すことではなく、社内で発生している業務をとにかく数え上げることでした。広告運用のレポーティング、LINEの問い合わせ対応、SNS投稿の下書き作成、議事録のまとめ、請求書のチェックなど、担当者の頭の中にしかない業務が大量にありました。棚卸しをしてみると、最終的に69の業務が浮かび上がりました。ここで実感したのは、「AI化すべき業務」を先に決めようとすると、声の大きい業務や目立つ業務ばかりが優先されてしまうということです。まず全体量を可視化してから優先順位を決める、という順番を守ったことが、後々の判断のブレを防ぐことにつながりました。

頻度×所要時間×判断の複雑さで仕分ける

69業務をそのままリスト化しても、どこから手をつけるべきかは見えてきません。そこで私たちは、それぞれの業務を三つの軸で評価することにしました。

この三軸を掛け合わせることで、「頻度が高く所要時間も長いが、判断はほぼ定型」という業務が最優先候補として浮かび上がりました。逆に、頻度が低く判断の複雑さが高い業務は、AI化の投資対効果が低いと判断し、後回しにする根拠になりました。

優先度マトリクスの実例

実際に使った仕分けの一部を簡略化した表で示します。

業務例頻度所要時間/回判断の複雑さ優先度
SNS投稿の下書き作成毎日約30分低(型がある)
LINE問い合わせの一次対応毎日約20分低〜中
定例会議の議事録作成週数回約40分
広告レポートの数値集計週1回約60分
クライアント個別の提案書作成月数回約3時間高(個別最適化)低(後回し)
採用面接の一次スクリーニング月1回程度約2時間高(人物評価)低(後回し)

高優先の業務に共通するのは、頻度が高く、かつ判断のパターンがある程度決まっていることです。一方で後回しにした業務は、頻度が低いか、もしくは個別の状況判断が強く求められるものでした。ここを混同してAI化を急ぐと、後述するような失敗につながります。

高優先で着手した業務と、実際に進めている中身

マトリクスで高優先と判定した業務のうち、私たちが実際に着手したものは次の通りです。

これらはいずれも、頻度が高く、判断のパターンがある程度定型化できる業務でした。逆に言えば、この条件を満たさない業務にAIを充てても、期待したほどの時間削減にはならないというのが、私たちの実感です。

後回しにした業務と、その理由

マトリクス上で優先度が低いと判定した業務は、あえて着手を見送っています。例えば、クライアントごとに事情が異なる個別提案書の作成や、採用面接の一次スクリーニングなどです。これらは頻度が低いために削減できる総時間が小さく、かつ判断の複雑さが高いため、AIに任せた場合の手直しコストが逆に増えるリスクがありました。「頻度が低くても目立つ業務だから」という理由でAI化を急ぎたくなる場面もありましたが、私たちはマトリクスの評価を優先し、着手を見送るという判断をしています。この判断は今のところ変えていません。

1週目、削減がマイナスになりかけた失敗

計画を実行し始めた1週目、私たちは実際に時間の削減どころか増加に近い状態に陥りました。原因は、LINEの一次対応をAIに任せる際、AIが生成した返信文をすべて人間が一件ずつ細かく手直ししていたことです。もともと「確認してから送る」という設計にしていたのですが、確認の基準を決めていなかったため、担当者が過剰にチェックしてしまい、結果として手作業の時間と大差ない状態になっていました。この失敗から、私たちは確認の基準(誤字脱字や事実誤認がなければそのまま承認する、文体の好みレベルの修正はしない)を明文化し、承認の基準を緩めることで本来の削減効果が出るようになりました。仕組みを作っただけでは削減にならず、運用ルールまで含めて設計する必要があるという学びを得た1週間でした。

69業務の仕分けから見えてきたこと

月497時間削減計画は、現在も実行中です。すべての業務が計画通りに進んでいるわけではなく、優先度の見直しや運用ルールの調整を続けながら進めています。この過程で私たちが強く感じているのは、AI化は「導入すること」がゴールではなく、「どの業務から、どの順番で、どんな基準で任せるか」を決めることが本体だということです。69業務の棚卸しとマトリクスによる仕分けは、その判断を属人的な勘ではなく、頻度・所要時間・判断の複雑さという共通の物差しで行うための土台になっています。

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