AI自動化ラボ by PROST

士業事務所のAI業務自動化|定型事務と問い合わせ対応を効率化する

2026年7月7日|株式会社PROST

税理士・社労士・行政書士事務所からいただく相談で必ず出てくるのが、「同じような問い合わせに毎回時間を取られる」「書類作成の下書きに時間がかかる」「面談内容をまとめる作業が後回しになる」という悩みです。士業の仕事は本来、専門的な判断や顧問先との関係構築に時間を使うべきものですが、実際には定型的な事務作業がその時間を圧迫しています。私たち株式会社PROSTは、自社69業務のAI化計画で月497時間の削減を実行中で、その過程で得た知見をもとに、士業事務所特有の業務構造にAIをどう当てはめるかを整理しました。この記事では、どこまでAIに任せてよく、どこからは人が扱うべきかという線引きも含めて具体的にお伝えします。

士業事務所の業務は「定型」と「専門判断」が混ざっている

士業事務所の業務を整理すると、大きく二つの性質に分かれます。一つは、頻度が高く手順が決まっている定型事務。もう一つは、顧問先の状況を踏まえた専門的な判断が必要な業務です。この二つが同じ業務フローの中に混在しているため、「事務所の仕事は専門性が高いからAI化できない」と考えられがちですが、実際には定型部分だけを切り出して自動化できる余地が大きくあります。

私たちが69業務を棚卸しした際も、頻度・所要時間・判断の複雑さの3軸で仕分けることで、感覚ではなく数字で優先順位を決めることができました。士業事務所でも同じ考え方が使えます。「毎回同じ質問に同じ答えを返している業務」から着手するのが、遠回りをしない進め方です。

定型的な問い合わせへの一次回答をAIに任せる

士業事務所に寄せられる問い合わせの多くは、実は毎回内容が似ています。「必要書類は何か」「提出期限はいつか」「料金体系はどうなっているか」といった質問は、顧問先ごとに個別の判断を必要としません。こうした問い合わせは、AIが一次回答を作成し、内容を職員が確認してから送る、という流れに置き換えられます。

私たちはLINE公式アカウントのCRMを自社開発し、外部ツール費用を月0円に抑えながら自動返信の仕組みを構築しました。士業事務所であれば、よくある質問への一次回答をAIに作らせ、個別性の高い相談だけを担当者に振り分けるという運用が現実的です。すべてを自動返信にするのではなく、「一次回答まではAI、最終判断は人」という役割分担を明確にすることが定着の鍵になります。

書類作成の下書きと議事録・面談メモの自動化

書類作成も、白紙から作るのではなく、過去の類似案件をもとにAIに下書きを作らせることで作業時間を大きく圧縮できます。契約書や届出書のひな形に顧問先の情報を当てはめる作業、面談で聞き取った内容を議事録の体裁に整える作業は、定型的な文章構成のパターンが決まっているため、AIが得意とする領域です。

面談メモについても同様です。面談中に話した内容を録音やメモから起こし、AIに要点を整理させることで、面談後の記録作業にかかる時間を減らせます。私たちも社内の議事録作成にAIを組み込んでおり、これは69業務の棚卸しで「頻度が高く、判断がある程度定型化できる」と判定された業務の一つでした。士業事務所の面談メモも、同じ考え方で自動化計画に組み込めます。

AI活用と人による確認の役割分担

業務AIが担う範囲人が担う範囲
定型問い合わせ対応よくある質問への一次回答案の作成個別事情の確認と送信前チェック
書類作成ひな形への情報当てはめ・下書き作成法的な最終判断と押印・提出
議事録・面談メモ文字起こしと要点整理機密性の高い発言の取り扱い判断
顧問先ごとの個別相談過去事例の参照・下調べ助言内容の決定と説明責任

守秘性の高い情報は人が扱うという線引き

士業事務所の業務でもっとも重要なのは、顧問先の個人情報や財務情報、税務・労務上の機微な内容を、どこまでAIに触れさせてよいかという線引きです。私たちの結論は明確で、「定型的な文章の下書き作成」はAIに任せてよいが、「顧問先固有の機密情報を含む最終判断」は必ず人が行う、という役割分担です。

具体的には、AIに入力するデータから個人が特定できる情報や金額の詳細をあらかじめ伏せる、AIが作成した下書きは必ず担当者が内容を確認してから顧問先に送る、といった運用ルールを事前に決めておく必要があります。便利さを優先して線引きを曖昧にすると、情報漏洩や誤った助言のリスクが高まります。AIはあくまで下書きと一次対応の効率化に使い、専門的な判断と守秘義務が関わる部分は人が担うという原則を、事務所全体で共有しておくことが前提になります。

これから着手する事務所が最初にやるべきこと

士業事務所でAI活用を始めるなら、まず自事務所の業務を書き出し、「定型かどうか」「守秘性が高いかどうか」の二軸で仕分けることをお勧めします。頻度が高く定型的で、かつ守秘性がそれほど高くない業務、たとえばよくある質問への一次回答や書類のひな形作成から着手すれば、大きなリスクを取らずに効果を確認できます。

私たち自身、69業務の棚卸しから月497時間の削減計画を立て、現在も実行しながら検証を続けています。士業事務所の場合も同じで、完璧な仕組みを最初から作るのではなく、線引きを決めたうえで定型部分から着手し、様子を見ながら範囲を広げていくのが遠回りをしない進め方だと考えています。

よくある質問

士業事務所の業務は専門性が高いので、AI化は難しいのでは。

業務は「定型」と「専門判断」が混在しており、定型部分だけを切り出せば自動化の余地は大きくあります。頻度が高く手順が決まっている定型事務から着手するのが遠回りしない進め方です。

顧問先の機密情報をAIに扱わせても大丈夫ですか。

定型的な文章の下書き作成はAIに任せてよいですが、顧問先固有の機密情報を含む最終判断は必ず人が行うという線引きが必要です。個人が特定できる情報はあらかじめ伏せることをお勧めします。

士業事務所が最初に着手すべき業務はどれですか。

よくある質問への一次回答や書類のひな形作成など、頻度が高く定型的で、かつ守秘性がそれほど高くない業務から着手すると、大きなリスクを取らずに効果を確認できます。

私たちのツール

関連記事

この記事の内容を、自社でやるのが難しいと感じたら

PROSTが30分の無料AI業務診断で、御社のどの業務から自動化すべきかを一緒に整理します。

無料AI業務診断の詳細を見る

執筆: 株式会社PROST 編集部(運営責任者: 小川葵)|運営者情報を見る

Xでシェア LINEでシェア Threadsでシェア